お尻にしますか?

うつ

 診察の予約が取れたので、心療内科の受診へと向かった。
 しかし、そこに向かうまで、様々な困難が待ち受けていた。

第一の難関

 前回のブログで書かせていただいたが、最近私はうつの再発症状があらわれた。今日は、それから初めての外出だった。

 しかし、家から出て、問題が起こった。

 歩いて20秒。住居の建物の目の前で、しゃがみこんでしまったのだ。
 それはひどい症状で、歩行困難になったからだ。

□過呼吸(まともに息ができない、息苦しい)
□動悸が激しい(心臓がバクバクなり、耳鳴りがする)
□涙が出てくる
□足がふらつく

 私は、いつもは10分で着く駅への道のりを、20分かけてたどり着いた。

 なお、通りすがりのすれ違う人々は、私の近くを通る時、大きく距離をあけていた。
 よっぽどひどい形相をしていたのだろう……

第二の難関

 なんとか、心療内科にたどり着いた。
 待合室で、神に祈るように机に突っ伏して、番号を呼ばれるのを待つ。

 やがて、私の番号が呼ばれて、診察室へ向かった。
 そこでまたしても、症状が出てしまった。

□涙が勝手に出てきて止まらない。
□何も責められてないのに、謝罪の言葉ばかりが出る
□頭の中が真っ白になり、まともに話せない

 このような事態を恐れて、私は事前に、昨日のうちに具体的な症状の経過や、原因と思われる事象をワードでまとめ、印刷をしていた。

 医師はその紙を見ながら、無言でパソコンにカルテを打ち込んでいた。

 泣いてしゃくりあげながら、私はただただ謝っていた。

中に入っていきなり泣いててすみません、涙が止まらなくて

うまく説明もできなくて申し訳ないです

 医師は黙っていた。
 私がやがて、ワードにかけなかったことを口頭ですべて伝えると、口を開いた。

ナマケモノさん、寝れていますか?

寝れていないです。夜中も目が覚めてしまって……

睡眠薬をお出ししますね
あと、不安を和らげる薬も

 私はうなずいた。
 医師は、はっきり大きな声で私に呼びかけていた。

あと、注射もうちましょう
精神を安定させるものです

※イメージ図です

注射……

 ぼんやり、私は考えていた。
 どこか、目の前に透明な幕が張っていて、聞こえるようで聞こえなかった。

 医師が詳しい薬品名を説明していた。だが正直、今でも覚えていない。詳しい効果も説明していたが、聞き取れても、脳が理解できなかった。

大丈夫ですか?

 ひときわ大きな声で、真剣な顔で、医師が呼びかけた。
 そして改めて、注射を打ってもいいか、私に問いかけてきた。

……わかりました

 そう答えるしかなかった。
 私でも、自分の今の状態が異常であること自体は、察していたから。

大きな声、はっきりと端的でないと聞き取れない

……本当に、この度は大変でしたね

お大事になさってください

1週間後にまた診察をしましょう

……これそうですか?

 私はうなずいた。
 来ないと危ういことは自分でもわかっていた。

 ただそのまま、「注射を打って」と助手の方に医師は指示を出していた。

 私はあわてた。

仕事場から、折り返し連絡をするように言われてるんです

そちらにはどのように対応すればいいですか?

 「休職の必要を認める」という診断書がなければ、通常の出勤の要請を受けるだろう。
 私はこの状態でまともに仕事ができるとは、到底思えなかった。

 無理やりするにしても、震えが止まらず、ずっと職場で泣いている姿が、簡単に想像できた。
 通常に働く、そう想像するだけで、その時も全身が震え、涙を流す量が増えたためだ。

 たずねると、医師は答えた。

「1週間後に診断を受けるように言われました」と言ってください

「必要なら診断書を書きます」とも

 そして、私に確認した。

……その後は、働けそうですか?

 頭が真っ白になった。
 そして私は、ワッと泣き出した。

む、無理です……!

行けません……
もう無理です……!

 息が苦しくなり、声が震え、膝に顔をくっつけるように泣いた。
 私の頭の上から、医師の声が聞こえた。

……わかりました。お休みする方向で行きましょう

ゆっくり、今は休んでください

 どうしたらいいのか、もはやわからなかった。
 頭の中はぐちゃぐちゃだった。

行かなきゃいけないってわかっている
でも今行ったら、間違いなく電車に飛び込む
仕事に行っても、まともにできない

でも休んで迷惑をかけている

行ったとしても、職場でまた攻撃を受けたらどうしよう

だからといって、この診察が終わったら、その結果を職場へ伝えなくてはいけない

伝えるときにケイタイを見なければならない

そこでまた、私を責める発言があったらどうしよう

 グルグルグルと、考えていた。

 診察室を後にするときに、もう一度、医師から「ゆっくり休んでください」と声をかけられた。

第三の難関

 待合室で待機している間、職場へチャットで連絡をした。
 電話は体調が悪化することが大昔のうつを発症したときに知っていたので、しなかった。

 今回のうつ再発の原因は、間違いなく職場にあった。
 なのでそのストレスの要因となったものと、家でやりとりする勇気はなかった。
 また、なるべく早く済ませたかった。

 これまでの経験で、ストレスの要因との対応を後回しにして長引かせれば長引かせるほど、症状が悪化すると知っていたからだ。

 やがて、看護助手、の方なのか先ほどまで医師のサポートをしていた方から呼ばれた。
 そのまま処置室へ案内をされた。

 そこでも、何をされるにしても、常に謝罪の言葉が出てしまっていた。

 助手の方も、「謝らなくていいですよ。何にも悪いことしてないんですから」と優しく声をかけていただいたが、それにも「すみません」と謝ってしまう。

 職場で謝らなくてはならない状況が非常に多かったからだ。
 もはや、口癖になりつつあった。

 相変わらず、涙は止まらない。
 自分でも何に泣いているのかわからない。
 ただ、流れてくるから、流してる。そういった感覚だった。

 助手の方は、医師の方と同様に、注射は精神を安定させる薬を打つ、と説明をした。

こちら、腕に打ってもいいのですが……非常に痛いです
おしりに打つ方もいますが、どうされますか?

しり……尻!?

 ぼんやりとしていた私でも、さすがにギョッとした。
 あわてて、「腕でいいです」と返事をした。

 助手の方は、承諾した。

 すぐに注射を打つ流れになり、私は左腕を出した。

痛いですよー

 そう言いながら、針を刺した。液体が流れ込んでくる。

痛くないですか

? 痛く、ないです

……痛みに鈍くなっているのかもしれないですね

 注入をし始めて15秒ほどして、やっと痛みが出てきた。
 私が「あ、やっと痛くなってきました」と言うと、助手の方は「あ、そうですか!」とホッとした声を上げた。

痛みに鈍くなる

 30秒ほど薬を注入して、針が抜けた。
 最後の方は、確かに痛い、とはいえたが、私の体感では献血で最大量とられたレベルと同じだった。

 思い返すと、おかしい。
 尻という注射箇所の選択が出るのだから、痛くないはずがないのだ。

 そして、無事に処置は終わった。
 会計を済ませ、処方箋を受け取り、私は心療内科を後にした。

 薬局でもすぐに処方をしていただいた。
 「処方に20分ほどかかる」と言われたが、実際は10分程度だった。
 私の状態から、早い対応を心掛けてくれたのかもしれない。

 こうして、私の久しぶりの外出は終わった。

 今日のブログは、ここまでにする。
 もし今後も、目を通していただけたら幸いだ。

 では、また。

コメント

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